第22回FMO研究会「FMO データベースの紹介と解析チュートリアル」
日時: 2020 年 10 月 29 日(木) 10:00-11:30
場所: オンライン開催 CBI学会2020年大会 チャンネル: 5
https://cbi-society.org/taikai/taikai20/program.html
開催趣旨:
FMO 計算結果を収載した FMO データベース(FMODB)は、2019 年 2 月の一般公開以来データ数を増やし、8月3日時点で 2,662 構造を公開している。最近では新型コロナウイルス感染症(COVID-19)特集ページを開設するなどの取り組みが広がっている。本セッションでは、FMODB の概要を紹介するとともに、実際に FMODB に登録されているデータを用いて、創薬研究に用いるための解析方法について紹介する。FMODB の詳細を知りたい方、実際に FMO 計算結果を解析してみたい方のご参加をお待ちします。
モデレーター
福澤 薫 Kaori Fukuzawa 星薬科大学 Hoshi University
渡邉 千鶴 Chiduru Watanabe 理化学研究所 RIKEN
本間 光貴 Teruki Honma 理化学研究所 RIKEN
1. はじめに 10:00-10:05
福澤 薫 Kaori Fukuzawa 星薬科大学 Hoshi University
2. FMODB の開発および相互作用データ解析 10:05-10:35
高谷 大輔 Daisuke Takaya, 神坂 紀久子 Kikuko Kamisaka 理化学研究所 RIKEN
量子化学計算の一つであるFMO法により得られる相互作用エネルギー(IFIE/PIEDA)はタンパク質-リガンド間相互作用解析及び創薬研究への応用が期待されている。我々のグループでは FMO 計算データの蓄積を目的とした FMODB を開発し、計算済みの FMO データを簡便ななインターフェイスをホームページから提供している(https://drugdesign.riken.jp/FMODB/) 。 FMO 計算実施には入力構造に対する水素原子付加、原子間衝突の修正等の前処理が不可欠であるが、我々のグループで開発した自動化プロトコルによりほとんどのデータは前処理され、ユーザーは計算結果の検索や分析に集中できる。本講演では FMODB の開発や、そのインターフェイスの使い方について紹介し、蓄積されたデータを基にした解析結果等について報告したい。
3. COVID-19 特集の紹介 10:35-10:40
本間 光貴 Teruki Honma 理化学研究所 RIKEN
新型コロナウイルスの治療薬研究への貢献を目指して、星薬科大学、理化学研究所等の研究機関は、PDBj の特集ページに登録されている COVID-19 関連タンパク質の構造の FMO 計算を実施している。計算結果は 4/17 以降、順次 FMODB に登録して公開しており、8/20 現在で 10 種類のタンパク質 206 個の FMO 計算結果が閲覧可能となっている。
4. <チュートリアル>FMODB データを用いた COVID-19 関連タンパク質の相互作用解析 10:40-11:00
川嶋 裕介 Yusuke Kawashima 星薬科大学 Hoshi University
FMODB に収載されている COVID-19 関連タンパク質の登録データを用いた解析を行う。Main protease の FMO 計算結果を中心に、共有結合/非共有結合リガンドに対するIFIE/PIEDA 解析の流れを解説し、リガンド結合性の評価や重要な相互作用の抽出などについての解析を行う。尚、データ解析には Jupyter Notebook, 可視化解析には FMO 専用 GUIBioStation Viewer を使用する。
5. <チュートリアル>FMODB データ対象とした相互作用クラスタリング解析 11:00-11:20
関 祐哉 Yuya Seki 株式会社テクノプロ テクノプロ R&D 社 TechnoPro, Inc. TechnoPro R&D, Company
FMODB に公開されているエストロゲン受容体(ER) β 複合体の計算結果を例に、FMODB のweb インターフェイスおよび BioStation Viewer を使用した相互作用解析を行う。VISCANA(Visualized Cluster Analysis of Protein-Ligand-Interaction) 機能を用いて受容体アミノ酸残基との相互作用エネルギーに基づいたリガンドのクラスター解析を行い、リガンドの受容体結合における類似性を検討する。得られた相互作用の特徴に基づいて、分子設計のアイデアを提案する。
6. 質疑応答 11:20-11:30
※ 事前の準備について
チュートリアルでの説明と並行して実際に操作を体験されたい方は、FMODB、BioStationViewer、Jupyter Notebook の操作をしながらの参加が可能です。操作希望者は FMO 創薬コンソーシアムのホームページから公開されている、BioStation Viewer の事前インストールと Jupyter Notebook を用いるための Google アカウントの準備をお願いします。
BioStation Viewerならびに資料 のダウンロード: https://fmodd.jp/biostationviewer-dl/